DIVER OSINT CTFでは、手法・題材ともに、可能な限り現実世界におけるOSINTに繋がる問題を出題することを目指しています。これを「現実世界指向」と表現しています。
「OSINT」と一口にいっても、その領域は多岐にわたります。たとえば、あくまで一例として以下のようなものが挙げられるでしょう。DIVER OSINT CTFは特定分野に偏らず、幅広い対象と手法を扱いたいと考えています。
また、OSINTにおいて公開情報の収集は出発点にすぎません。真に重要なのは、集めた情報を統合し、妥当な仮説・示唆(インサイト)を導くこと――すなわち Intelligence の部分です。競技の特性上、正誤判定型の設問が中心になりがちですが、DIVER OSINT CTF 2025からは記述式設問を一部導入し、分析・評価能力そのものを問う出題も行っています。
もちろん、実務のOSINTを競技という枠で完全再現するのは容易ではありません。それでも現実世界を見据えた問題構成を実現するため、パートナー組織の専門家との連携や多角的な情報収集、参加者からのフィードバックを重ね、問題の質を継続的に高めています。これにより、参加を通じて実務を意識したスキル獲得が可能になることを目指しています。
OSINTは実務者に限らず、日常生活でも役立ちます。氾濫する偽情報の見極めや、攻撃者視点に立って個人情報・機密の漏洩防止を図るなど、様々な場面において重要になるスキルセットです。こうした力を持つ人が増えれば、社会全体の情報リテラシー向上にも寄与します。
一方で、従来型の「情報リテラシー教育・研修」は参加のモチベーションを保ちにくい側面があります。そこでDIVER OSINT CTFは競技形式を採用し、楽しさと達成感によって参加の障壁を下げています。フランス語圏のOSINT CTFは、エンターテインメント性と本格的な調査・分析要求を両立させることで、コミュニティの裾野を広げつつ参加者のスキルを引き上げてきました。DIVER OSINT CTFはその取り組みを参考にしつつ、前述の「現実世界指向」を軸に、OSINTのスキルとマインドセットを持つ人材の間口をいっそう広げていきます。
いわば、「楽しみながら参加していたら、いつの間にか現実世界で通用するスキルが身についていた」というCTFが提供できることを目指しています。
また、CTFをきっかけに、現実世界で活躍する人材が一人でも多く生まれることを願っています。